AIでどこまで開発できるのか?勤怠管理システム開発の実験から見えた、AI開発の可能性と限界、そしてMendixとの組み合わせ
- アルネッツ DX事業推進室
- 2 日前
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「AIを使えば、システム開発はどこまで楽になるのか?」
生成AIの進化によって、要件定義、画面設計、コード生成、テストコード作成まで、これまで開発者が時間をかけて行っていた作業の一部をAIに任せられるようになってきました。実際に、簡単なWebアプリケーションであれば、ChatGPTに指示を出すだけで、HTML、CSS、JavaScriptのコードを生成し、短時間で“動くもの”を作ることも可能です。
では、業務システムの開発において、AIはどこまで使えるのでしょうか。また、AIだけで本格的なシステム開発は成立するのでしょうか。
今回は、弊社のパートナー会社である株式会社FULL 狩屋智紀氏による、AIを活用した勤怠管理システム開発の実験をもとに、AI開発の実際の使いどころ、限界、そしてMendixとの組み合わせによる可能性についてご紹介します。
実験の概要:勤怠管理システムをAIで開発してみる
今回の実験では、勤怠管理システムを題材に、ChatGPT、GammaAI、Mendix、Jest、Playwrightなどを使用し、要件定義から設計、実装、テストまでを試しました。
対象となった工程は、導入提案書、要件定義書、基本設計書、外部設計書、実装、単体テスト、結合テストです。その中で特に注目したのは、次の3点です。
1つ目は、AIで設計書や画面イメージをどこまで作れるか。2つ目は、AIに実装まで任せた場合、どこで行き詰まるか。3つ目は、MendixとAIを組み合わせることで、その課題を補えるか、という点です。
AIは「最初の一歩」を圧倒的に速くする
まず強く感じられたのは、AIはプロトタイプ作成に非常に強いということです。
たとえば、勤怠管理システムの画面についてChatGPTに相談すると、要件の整理、画面項目の洗い出し、ボタン配置、サマリー表示などを短時間で提案してくれます。さらに、画面イメージをSVGで出力させると、文字も比較的きれいに表示され、初期の画面案としては十分に使える品質のものが得られました。
また、要件定義書や基本設計書のようなドキュメントについても、ChatGPTと対話しながら内容を整理し、WordやExcelに出力することができます。さらに、文章ベースのメモをGammaAIに通すことで、見栄えのよい提案資料や説明資料に変換することも可能です。
この段階では、AIは非常に有効です。まだ要件が曖昧な段階で壁打ち相手になってくれる。画面案をすぐに出してくれる。ドキュメントの初稿を作ってくれる。これだけでも、開発初期のスピードは大きく変わります。
しかし、AIだけの本格開発には限界がある
一方で、実装フェーズに入ると、AI開発の限界も見えてきます。
ChatGPTにHTML、CSS、JavaScriptで勤怠管理システムを実装させたところ、「とりあえず動くもの」を作るスピードは非常に速いという結果になりました。日次打刻画面のような画面も、短時間でそれらしい形にすることができます。

しかし、問題はその後です。
細かい処理の修正や、不具合が発生したときの原因調査には時間がかかります。ChatGPTが「この関数は呼び出されています」と説明していても、実際には期待通りに動いていないケースもありました。その場合、開発者自身が生成されたソースコードを読み、どこに問題があるのかを理解したうえで、ChatGPTに修正箇所を的確に指示する必要があります。
つまり、AIがコードを書いてくれるからといって、開発者がソースを理解しなくてよいわけではありません。むしろ、AIが生成したコードが大きくなるほど、「自分が書いていないコードを読み解き、修正する」負担が増える可能性があります。

また、デザイン面でも課題がありました。基本設計段階でChatGPTが提案した画面イメージと、実際にChatGPTが実装した画面では、見た目が大きく異なることがありました。AIは指示に従ってコードを生成できますが、設計意図やデザインの一貫性を保ちながら開発を進めるには、まだ人間側のコントロールが必要です。

テストコード生成も万能ではない
今回の実験では、Jestによる単体テスト、Playwrightによる結合テストも試しています。
ChatGPTは、JavaScriptのソースをもとにJestのテストコードを生成できます。また、HTML、CSS、JavaScriptで作成した画面に対して、Playwrightのテストコードを作成することも可能でした。
ただし、ここにも注意点があります。
まず、単体テストを行うためには、テストしやすい単位で関数を分割する必要があります。この作業自体に時間がかかります。さらに、ChatGPTが生成したテストコードが「何を確認しているのか」「本当に業務上必要な確認になっているのか」は、最終的に開発者が判断しなければなりません。
結合テストについても同様です。Playwrightのコード自体は生成できても、その画面操作が業務的に妥当かどうかはAIだけでは判断できません。たとえば、勤怠管理において「必ずできなければならない操作」や「異常系として確認すべき操作」は、業務知識を持つ人間が整理しておく必要があります。
AIはテストコード作成を支援できますが、「何をテストすべきか」までは任せきれない。ここも、AI開発の重要なポイントです。
MendixはAI開発の弱点を補える可能性がある
では、AIだけでは難しい部分をどう補うべきでしょうか。
今回の実験で有力な選択肢として見えてきたのが、Mendixとの組み合わせです。
Mendixはローコード開発プラットフォームであり、画面、データモデル、ロジック、ログイン機能、編集ページなどを、標準機能を活用しながら開発できます。プロトタイプ作成のスピードだけで比較すると、ChatGPTによるコード生成の方が速い場面もあります。しかし、本格的な業務システムとして作り込んでいく段階では、Mendixの強みが出てきます。
たとえば、ログイン機能や編集ページのような標準的な機能は、Mendixの機能を使うことで安定して作成できます。また、ロジックは開発者がMendix上で整理して作成するため、不具合が発生したときにも原因を追いやすくなります。
AIが生成したコードを後から読み解いて修正するよりも、Mendix上で構造化された形で開発した方が、保守性や再現性の面で有利になる場面があります。
「Mendix × AI」という現実的な開発スタイル
特に興味深いのは、MendixとAIは競合するものではなく、共存できるという点です。
Mendixで開発を進めながら、必要に応じてChatGPTにJavaActionやJavaScriptを書かせることができます。その際には、Mendixのドメインモデル定義や、使用できる関数の一覧を事前情報としてChatGPTに与えることで、より正確なコード生成が期待できます。
つまり、AIにすべてを任せるのではなく、Mendixを開発の土台として使い、部分的にAIを活用するという形です。
この方法であれば、AIのスピードと、Mendixの構造化された開発基盤の両方を活かせます。AIは初期案の作成、補助的なコード生成、ドキュメント作成、テストコードのたたき台作成に使う。Mendixは、本格的な業務アプリケーションとしての実装、画面、データ、権限、ロジック、保守性を担う。
この役割分担が、現時点では非常に現実的なAI活用の形だと考えられます。
AI開発で大切なのは「任せきる」ことではない
今回の実験から見えてきたのは、AIは開発者を不要にするものではなく、開発者の作業を大きく加速する道具だということです。
AIは、要件整理や画面案の作成、初期実装には非常に強いです。一方で、業務ロジックの妥当性、不具合原因の特定、テスト観点の整理、保守しやすい構造づくりには、人間の判断が欠かせません。
特に業務システムでは、「動くこと」だけでは不十分です。業務に合っていること。運用に耐えられること。修正しやすいこと。担当者が変わっても保守できること。権限やデータ管理が適切であること。
こうした観点を考えると、AIだけで本格的な開発を完結させるのは、まだ難しい部分があります。
まとめ:AIで速く作り、Mendixで育てる
AIを使った開発は、確実にシステム開発のあり方を変えつつあります。特にプロトタイプ作成やドキュメント作成では、大きな効果が期待できます。
しかし、AIだけで本格的な業務システムを作ろうとすると、生成されたコードの理解、不具合修正、テスト観点の妥当性確認などで、かえって負担が増える場面もあります。
そこで有効なのが、Mendixとの組み合わせです。AIで素早くアイデアを形にし、Mendixで業務システムとして安定的に構築する。必要な部分では、AIにJavaActionやJavaScriptの作成を支援させる。
このように、AIとMendixを適切に組み合わせることで、開発スピードと品質、保守性のバランスを取りやすくなります。
AIで速く試し、Mendixで確実に育てる。それが、これからの業務システム開発の有力な選択肢になるかもしれません。
AI開発に興味はあるが、実際の業務システムにどう取り入れればよいかわからない。
ChatGPTでどこまで開発できるのか試してみたい。
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そのような方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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